リンドーズ・アビー
蒸溜所の設立には故ジム・スワン博士が深く関わっており、初留1基と再留2基を組み合わせた蒸留システムやSTR樽での熟成など、世界の蒸溜所コンサルティングで培った技術がつぎ込まれています。発酵は117時間と非常に長く、もろみからトロピカルなフレーバーを引き出しています。再留器を2基とすることで、銅とのコンタクトが増大し、オフフレーバーを除去していますが、一方で、ラインアームを下に向けることで重厚な酒質を得ることに成功しています。
最古のポットスチル跡と蒸溜所設立
リンドーズ修道院は1191年に建立しましたが、1559年に宗教改革の影響で打ち壊され、廃墟となってしまいました。100年ほど前より廃墟のある土地は個人所有になっており、当代のオーナー、ドリュー・マッケンジー・スミス氏が蒸溜所設立を決意。考古学的調査で蒸留器の跡を確認した後、2017年にウイスキー蒸溜所を設立しました。
リンドーズ修道院の保全
リンドーズ修道院は園芸や薬学の知識を持ったティロン修道会の修道士たちがつくり上げたもので、研究、学習、醸造、蒸留、園芸、養蜂の場であったといいます。この修道院の復興と保全が蒸溜所設立の大きな目的の一つ。すでにその一環として果樹園が再興されていて、2022年の果実の品評会でも入賞を果たしており、その他にも野生のハーブの研究、養蜂なども始めています。
STR樽での熟成
STRとは、S=シェービング、T=トースティング、R=リチ
ャーリングの頭文字で、ジム・スワン博士が開発した再活性を施したワイン樽のこと。ワインがしみ込んだ樽内面の
表層を削り取ってから、2種の方法で内面を焼くことで、オーク材が本来持っているフレーバーをさらに引き出すことができます。